経営者インタービュー詳細
VOL.50
- 投稿日:2023.5.23
- 編集日:2023.5.23
"京都の住環境を守っているのは私たちです!"なんて言い過ぎですかね
株式会社青松建設
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代表取締役青松 竜好
すぐには入ってないんですよ。中学校くらいまではね、すんなり後を継ぐんだろうなと思っていたんですが、大人になるにつれて継ぐことがだんだん嫌になっていったんですよ。私は、大学卒業後は家業に入らずホームページを制作する仕事を始めたんですよ。でも、上手くいかなくて、専門学校でパソコンの講師をやるようになったんですね。この時期は、この講師業が自分の天職だと思えるくらい楽しかったです。
25歳くらいの時に知り合った経営者の先輩に、「家業に入ったら?」とアドバイスをもらったんですね。そう言われてから、家業に入ることを具体的に意識するようになったんですよ。そして、昔を振り返ったときに大学時代に半強制的に父に手伝わされた記憶が蘇ったんです。最初は嫌々でしたが、いざ仕事を始めると楽しかったんですよ。家を解体する訳ですから。壁を壊したり、ガラスを割ったりするんですが非日常じゃないですか。そんな記憶を辿ると昔抱いていた嫌なイメージがどんどん気にならなくなったので29歳で家業に入りました。
もちろん入社早々に代表を継ぐなんてこともありませんので、それから日々現場に出て修行の毎日でした。その当時は、先代の父が代表だった訳ですが、父は職人で、現場仕事以外の事は全て母がやっていました。そして、私が家業に入ってから10年程度経過した頃、母が他界したんですね。母がずっとやっていた仕事はそのまま私が引き継いだんですが、夫婦で上手く行っていたことも親子となるとまた勝手が変わるんですよね。それからというもの事業自体もうまく回らなくなり会社の存続自体も危ぶまれました。そして、母の他界から3年経った時私が事業を引き継ぎました。
2013年に勉強会に参加して、会社の分析に真剣に取り組むようになったのがキッカケです。それまでは、「何でもやりますよ!何でも解体しますよ!お仕事ください!」という風なスタンスだったんですね。これではいけないということで、真剣に分析に取り組んだんです。その結果、弊社の強みが、「お客様や近隣にお住いの皆様に対する従業員の皆の対応品質」 「60年以上解体専門でやってきたことによる経験値」 「歴史に裏付けられた高い技術力」であるということが分かったんです。
現在、弊社が得意としている「京町家の解体」も「高級マンションのスケルトン」も、特殊な技術やノウハウが必要な訳ではないんですね。極端な話、重力が分かっていれば出来る仕事なんですよね。だから、建物を解体するということ以外の部分がとても重要になると言うことに気づけたんです。私達の仕事は、「建物を解体することが仕事」ではなくて、「建物を解体することで、お客様や近隣の地域住民の皆様へ安心と安全をお届けすることが仕事」なんだということの重要性に気付くことができたんです。これに気付いて、従業員の皆にもあらゆる場面でただ解体するという作業ではなく、その作業の目的を伝え続けました。そしたら、少しづつ変わり始めたんですよ。
先輩社員や役職者の後輩や部下への指導の仕方が変わりました。例えば、「何でこんなことやったんや!」というような叱り方が、「こんな事したらお客様がどう思われるか考えたんか?」という風に変わったんです。この変化は大きいですね。お客様や近隣の皆様にことを考えてくれていなければ、このような叱り方にはなりませんからね。
今は、経営者としての仕事に専念しているので中々従業員の皆全員と顔を合わせる機会が少ないのですが、合間を見つけては現場に行ってコミュニケーションを取るようにしています。そして、その時にお施主様や工務店の皆様から頂いた感謝の声を皆に伝えるようにしているんです。それを伝えることで、自分たちの仕事が皆様に役に立っていることを実感してもらうのと同時に、人の喜びを自分事として喜んでもらいたいと考えています。
私自身、大学卒業後家業に入ることに抵抗があってホームページ制作の仕事に就いたんですが、これからは、私だけでなく従業員の皆からしても「自分の身内を就職させたくなる会社」にしていきたいと考えています。また、解体工事前の近隣への挨拶に伺ったときに、「青松さんなら安心や!」なんて言ってもらえるようになれば最高ですね。そうなれるよう、一日一日皆で頑張っていきますよ!