経営者インタービュー詳細
VOL.91
- 投稿日:2023.5.24
- 編集日:2023.5.24
バーテンダーだからこそ出来る地域社会との関り方もっとあると思うんです
BAR LAG WAGON
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代表藏貫 哲朗
このバーを始める前は、祇園で働いていました。その当時働いていたのもバーだったのですが、そのバーで知り合ったお客様に「伏見でバーをやらないか?」と声を掛けてもらったんです。その時が24歳くらいだったのですが、20歳くらいから何となく「20代前半で自分で何かをやりたいな。」と考えていたので、雇われの身ではありましたが、その頂いたお話を引き受けました。私に声を掛けてくださったオーナーは不動産業をされていて、その会社の飲食部門というかたちでのスタートでした。それから、1年程経過した頃、オーナーの方から独立のキッカケを頂き独立することになりました。
ここでバーをやる前に祇園でもバーで働いていたとはいえ、バーテンダーとしての修行無しでスタートしましたから、お酒の事なんて何も知らなかったんです。でも、お店にお越し頂いているお客様が皆楽しそうにされているので、「これでいいか。」と思っていたんです。しかし、ある日、近くに飲みに行ったときの事でした。そのお店に入ると、私のお店のお客様がお友達といらっしゃっていたんです。話されているお話を盗み聞きするつもりなんてなかったのですが、漏れ聞こえてくる話の中に、私のお店の話題が出たんです。その内容は、喜べるものではなく、「あんな店やめとき。」「あそこのバーテン、酒のこと知らんやろ。」というものでした。これを聞いて私は、自分がどうこうよりもお越し頂いているお客様に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。この出来事をキッカケにお酒の勉強をはじめ、通っていることを自慢出来るような店になることを決意しました。
私自身は勿論ですが、ここで働いてくれているスタッフの皆、そしてお越し頂くお客様、そして私達に関わる全ての人達にワクワクしてもらいたいと考えています。この思いが、何かを判断するときの基準にもなっていますので、何かを決めないといけない場合は、ワクワクしそうな方、楽しそうな方を選ぶようにしています。
現在、お店の営業自体はスタッフの皆に任せていて、私は対外的な活動に時間を使っています。私自身飲食業界の中でもバーの業界に身を置き、その中で感じたのが、飲食業界以外の業界への発信力の弱さです。この他業界への発信力の弱さは、私だけの問題ではなく飲食業全般においても共通して言える問題だと感じています。この他業界への発信力の弱さをクリアするために、様々な団体と関わらせて頂き、様々な業界の経営者の皆様と関わらせて頂くようにしています。今は、こういう事に一番時間を使っています。
お客様に対しては、「若い女性が一人で来ても安心してお酒を飲んで帰ってもらえるように。」「お越しいただいたお客様が、その日その場所で主役になれる瞬間を提供して、その名脇役になりたい。」と、そんな思いを持っています。また、地域社会の皆様とは、何となくとっつきにくいイメージを持たれがちなバーではありますが、地域と密着して皆様と足並みを揃えて行きたいと考えています。例えば、地域のお祭りでブースとして「出張バー」をやったり、コロナ禍では地域の飲食店と連携してお弁当の共同販売や、レトルトの共同開発をして、その商品を「京都伏見マルシェ」というブランドサイト内で販売や発信を行っています。
やっぱりワクワクしたいんだと思います。「こうすれば、皆楽しいんじゃない?」とか言うことを考えて行動するとワクワクしてなんでも頑張れます。先程お話した地域のお祭りへの出張バーもそれがカタチになった一つだと思います。ほんとにワクワクしたいんです。昔から、好きな教科のテストは 100点近い点数を取るけど、好きじゃないテストの点数は、散々たる点数だったんです。この頃から、「ワクワクしている時はすごいエネルギーが出る。」と、思っていたんです。ですから、「こんな事したら、スタッフの皆も地域社会の皆さんも喜ぶんじゃないか?」ということを考えて、そのワクワクをモチベーションの源にしています。
「京都伏見マルシェ」というブランドサイトで伏見のお店と共同開発したレトルト販売や、「食と文化と観光」を発信して、ここ伏見の魅力を他府県にも広げていきたいと考えています。そして、このような活動をやっているバーテンダーがいるということ、バーテンダーだからこそ出来る地域社会と関わり方や関係の作り方があるということを発信して、バーテンダーという職業の可能性を広げていきたいと考えています。